原著
大腸粘液癌の臨床病理学的検討
鈴木 章一, 関根 毅, 須田 雍夫
埼玉県立がんセンター腹部外科
大腸粘液癌症例は大腸癌手術例482例中23例,4.8%にみられた.このうち,大腸粘液癌切除症例22例について臨床病理学的検討を分化型腺癌症例377例と対比し行った.粘液癌は若年者,女に多い傾向がみられ,占居部位では盲腸に有意に多く認められた(p<0.05).肉眼型では3型が多くみられた.stageは進行したものが多く,壁深達度はss(a1)以上,リンパ節転移はn3(+),n4(+)が多い傾向を示した.腹膜転移は18.2%に認められた.治癒切除率は60.9%で分化型腺癌に比べて低率であった.5年生存率は粘液癌切除例では53.4%で分化型腺癌に比べて不良であったが,治癒切除例では82.0%で分化型腺癌と同様であり,遠隔成績は良好であった.
索引用語
大腸粘液癌, 大腸粘液癌治癒切除, 大腸粘液癌術後遠隔成績
日消外会誌 22: 2666-2670, 1989
別刷請求先
関根 毅 〒362 埼玉県北足立郡伊奈町小室818 埼玉県立がんセンター腹部外科
受理年月日
1989年7月10日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|