胃癌肺転移症例の臨床病理学的検討

梅原　靖彦, 宮原　透, 吉田　雅行, 大場　範行, 後藤　秀樹, 原田　幸雄

浜松医科大学第1外科

　胃癌の肺転移は多種多様な転移様式を示す．そこで当教室においてX線学的にリンパ管症型，胸水型，結節型の3型に大別し臨床病理学的検討を加えた．1）胃癌手術症例226例中臨床的胃癌肺転移例は32例（14％）で，平均年齢は男性より女性の方が若かった．2）リンパ管症型，胸水型は比較的若い年代に，結節型は高齢者に見られた．3）胃癌肺転移と肉眼型，組織型，リンパ管侵襲との関連性が高かった．4）リンパ管症型，胸水型では肺転移発症後の生存期間が著しく短く，肺転移時期による予後の差は認めなかった．5）予後不良なリンパ管症型，胸水型の転移形式をとりやすい低分化型腺癌などには術後早期より積極的な補助療法を行うべきと思われた．

索引用語
胃癌, 転移性肺腫瘍, 胃癌肺転移症例の治療と予後

別刷請求先
梅原　靖彦　〒431-31　浜松市半田町3600　浜松医科大学第1外科

受理年月日
1989年6月7日

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