原著
胃癌におけるlamininの免疫組織学的検討―組織型および転移とlamininとの関連―
松田 泰次, 坂口 隆啓, 肥田 仁一, 久保 隆一, 田中 晃, 赤埴 吉高, 安富 正幸
近畿大学医学部第1外科
胃癌切除例214例を対象とし,formarin固定paraffin切片について,avidin-biotin peroxidase complex法によるlaminin染色を行い,組織型および肝転移との関係について検討した.組織型では,高分化腺癌48.7%,中分化腺癌29.3%,低分化腺癌7.2%であり,高分化な癌ほどlaminin陽性率は高かった.低分化腺癌の陽性6例はすべて充実胞巣型であった.肝転移との関係では,laminin陽性率は肝転移陰性例23.1%,肝転移陽性例91.3%,肝転移巣90.9%と肝転移例ほどlaminin陽性率が高く,低分化腺癌の肝転移陽性4例中3例はlaminin陽性の充実胞巣型であった.以上より,lamininは肝転移を促進し,従来の組織型と肝転移の関係をlamininの面から解明できることを示唆した.
索引用語
laminin, 胃癌組織, 免疫組織学的染色(ABC法), 胃癌肝転移
日消外会誌 22: 2778-2783, 1989
別刷請求先
松田 泰次 〒589 大阪狭山市大野東377-2 近畿大学医学部第1外科
受理年月日
1989年9月19日
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