症例報告
卵巣転移大腸癌の4例
山口 俊昌, 裏川 公章, 中本 光春, 出射 秀樹, 田中 宏明, 磯 篤典, 西尾 幸男, 植松 清, 瀬藤 晃一, 川北 直人, 嶋田 安秀1)
神戸労災病院外科, 兵庫県立柏原病院外科1)
1987年までの13年間に4例の大腸癌の卵巣転移を経験した.症例1:65歳.閉経後.S状結腸癌手術時に左卵巣腫瘤を合併切除した.術後10か月後に肺転移で死亡した.症例2:56歳,閉経後.下行結腸癌術後6か月目に両側卵巣を切除し,右卵巣に転移を認めた.症例3:53歳,閉経前.直腸癌(Rs)術後1年目卵巣腫瘤を切除,9か月後も健在である.症例4:56歳,閉経後.直腸癌(Rs)の治癒切除後1年4か月後に左卵巣腫瘤を切除した.1年8か月後に死亡した.
大腸癌卵巣転移の頻度は3.5%であった.原発大腸癌の占居部位は下行結腸1例,S状結腸1例,直腸(Rs)2例と,下部大腸に多く,全例リンパ管侵襲は陽性で,リンパ行性転移が疑われた.卵巣転移までの期間は同時から1年4か月後であった.予後は不良で,9か月生存中が1例あるが,3例は1年8か月後までに死亡した.
索引用語
colorectal cancer, ovarian metastasis from colorectal cancer
日消外会誌 22: 2882-2885, 1989
別刷請求先
山口 俊昌 〒651 神戸市中央区籠池通4-1-23 神戸労災病院外科
受理年月日
1989年7月10日
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