原著
胃癌所属リンパ節のリンパ球サブセットの検討―特に早期胃癌と進行胃癌の比較―
安達 亘, 堀米 直人, 菅谷 昭, 中村 学, 宮本 英雄, 石坂 克彦, 飯田 太
信州大学第2外科
早期胃癌14例,進行胃癌15例および胆石症8例(対照)の胃所属リンパ節のリンパ球サブセットをsingleまたはtwo color flow cytometryにより検索し,これらの抗腫瘍能を検討した.1群リンパ節については,早期癌と対照の間には有意差は認められなかったが,進行癌ではLeu-3a+Leu-8-細胞(helper T cell)が対照に比較して低率であった.早期癌ではLeu-2 a+細胞が1群に比較して2群リンパ節で高率であり,このほとんどはLeu-15-細胞(cytotoxic T cell)であった.しかし進行癌では1,2群リンパ節間で抗腫瘍能の相違を示唆する所見は認められなかった.
以上より,胃癌症例のリンパ節では抗腫瘍能の増強を示唆する所見はなく,進行胃癌ではむしろ減弱していることが推測された.一方,早期胃癌では抗腫瘍能の減弱は認められず,2群リンパ節が強い抗腫瘍能を有していることが推測された.
索引用語
lymphocyte subset, gastric cancer, regional lymph node of the stomach, antitumor immunity, flow cytometry
別刷請求先
安達 亘 〒390 松本市旭3-1-1 信州大学医学部第2外科
受理年月日
1989年10月11日
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