原著
上部胃癌に対する膵脾合併切除の適応
鎌田 徹, 米村 豊, 大山 繁和, 竹川 茂, 木村 寛伸, 松本 尚, 津川 浩一郎, 小坂 健夫, 三輪 晃一, 宮崎 逸夫
金沢大学第2外科
上部胃癌228例を対象として膵脾合併切除の適応について検討した.No.(10),(11)転移率はそれぞれ13%,18%であった.これら転移例の70%はNo.(3)転移を伴い,次いでNo.(1),(2),(7)に転移を伴う例が約半数を占めた.
早期胃癌にはNo.(10),(11)転移を認めなかったが,pm癌から転移を認め,深達度が進むにつれ転移率が増加した.肉眼的漿膜浸潤とNo.(10),(11)転移率をみると,S0でもそれぞれ2.4%,7.1%であった.早期胃癌のうち膵脾合併切除を行ったR2以上症例と行わないR1症例の予後を比較したところ有意な予後の違いは認められなかったが,進行癌ではR2以上例がR1例に比較して有意に予後良好であった.
以上より,上部胃癌に対する膵脾合併切除の適応は進行癌である.特にNo,(3) または(1),(2) に転移を認めるものは絶対的適応であると思われた.
索引用語
upper gastric cancer, pancreatosplenectomy
別刷請求先
鎌田 徹 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科
受理年月日
1989年10月11日
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