肝膿瘍の画像診断の進歩と治療法の検討

嶋田　紘, 福島　弥, 新本　修一, 片山　寛次, 野手　雅幸, 広瀬　和郎, 関　弘明, 礒部　芳彰, 小島　靖彦, 中川原　儀三

福井医科大学第1外科

　最近経験した化膿性肝膿瘍18例の病因および感染経路は経門脈性1例，経動脈性2例，特発性4例，経胆道性7例，肝動脈塞栓後3例，肝切後1例であった．前3者は全例が単発で，エコー所見は嚢胞型，検出菌はklebsiella単独で経皮的膿瘍ドレナージなどで全例治癒した．後3者のうち経胆道性や，肝動脈塞栓後の症例は多発でエコー所見上腫瘍型もみられ，computed tomography所見は不均一型，検出菌はklebsiella，E. coli，Pseudomonasや嫌気性菌が多く，複数菌感染の頻度は7/10であった．経皮経肝胆道ドレナージや経皮的膿瘍ドレナージが行われたが死亡は4例で全例が悪性疾患，複数菌感染症例で3例がdisseminated intravascular coagulationまたは臓器不全を合併した．画像診断の進歩と早期治療で単発性の肝膿瘍の成績は格段に向上した．しかし経胆道性やTAE後の症例は合併症を伴う場合が多く依然として予後は不良である．

索引用語
liver abscess, polymicrobial infection of liver abscess, percutaneous transhepatic abscess drainage, multiple systemic organ failure

別刷請求先
嶋田　紘　〒910-11　吉田郡松岡町下合月23　福井医科大学第1外科

受理年月日
1989年10月11日

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