原著
肝細胞癌症例の術前栄養評価
佐々木 文章, 西川 真, 亀田 博, 宇根 良衛, 秦 温信, 内野 純一
北海道大学第1外科
肝癌患者の栄養状態を明らかにするために,良性腫瘍患者46名と肝癌患者69名について身体計測,生化学的検査を栄養指標とし,栄養評価を行った.
理想体重比,上腕三頭筋部皮下脂肪厚比,上腕筋囲比などの身体計測では,良性群と硬変併存肝癌群の間に有意の差がみられ,後者は栄養状態の低下を示していた.生化学的指標でも硬変併存肝癌群が良性群に比べ有意に低い値を示し,前者は肝の合成障害と臓器蛋白量の低下を示した.α1-マイクログロブリンは硬変併存肝癌群が良性群に比べ有意に低い値を示し,rapid turnover proteinの1つとして,栄養指標となりうると考えられた.
索引用語
nutritional assessment, hepatocellular carcinoma, fibronectin, α1-microglobulin
別刷請求先
佐々木文章 〒060 札幌市北区北15条西7丁目 北海道大学医学部第1外科
受理年月日
1989年9月19日
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