安定同位元素¹³Cによる膵頭十二指腸切除術後の脂肪消化吸収能の検討

坂本　昭雄, 碓井　貞仁, 豊泉　惣一郎, 高石　聡, 鍋谷　圭宏, 奥山　和明, 小野田　昌一, 磯野　可一, 竜　崇正^＊

千葉大学第2外科, 千葉県ガンセンター外科^＊

　安定同位元素¹³C標識中鎖脂肪を用いて，膵頭十二指腸切除術後症例の脂肪消化吸収能を胃切除術後症例を対照として比較検討した．¹³C-octanoid acid呼気テスト法による¹³C呼気中回収率は胃切除術群19.2±3.6％に対し，膵頭十二指腸切除術群では15.4±4.9％と低下を認めたが有意の差は認められなかった．一方¹³C-trioctanoin呼気テスト法による¹³C呼気中回収率は胃切除術群16.0±5.0％に対し，膵頭十二指腸切除術群では5.1±3.6％（p＜0.01）と有意の低下が認められ，膵頭十二指腸切除術後症例では膵外分泌機能低下に起因する脂肪の消化能が低下していることが示唆された．

索引用語
fat digestion and absorption after pancreatoduodenectomy, ¹³C-octanoic acid breath test, ¹³C-trioctanoin breath test

別刷請求先
坂本　昭雄　〒280　千葉市亥鼻1-8-1　千葉大学医学部第2外科

受理年月日
1989年10月11日

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