Two color flow cytometryを用いた消化器癌患者のリンパ球subsetsの検討

田辺　博, 渡辺　進, 今井　直基

木澤病院外科

　担癌患者の免疫能を知るうえでtwo color flow cytometryを用いたリンパ球サブセットの検討を行った．103名の消化器癌患者を対象とし，その末梢血にてOKT3，OKT4，OKT8，Leu15をモノクローナル抗体としてリンパ球サブセットを求め，癌患者のstage，performance status，栄養状態と比較し以下の結果をえた．OKT3はstageの悪化にて低下する傾向を示し，OKT4も同様に低下した．OKT8はstage IVで低下を示した．OKT4/OKT8はstage IVで低下した．OKT8^＋×Leu15^＋（suppressor T cell）はstage，PSの低下で有意に低値を示し，OKT8^＋×Leu15^-（cytotoxic T cell）はstageの進行にて不変であり，PSの低下では増加する傾向にあった．
　以上より担癌患者の末梢血レベルでは癌の進行によりsuppressor T cellが減少し，cytotoxic T cellはむしろ増加傾向を示し，癌に対する生体の攻撃反応を示唆するものと考えられた．

索引用語
lymphocyte subsets, two color flow cytometry, gastrointestinal cancer, performance status of cancer patients

別刷請求先
田辺　博　〒505　美濃加茂市古井町下古井590　木澤病院外科

受理年月日
1989年10月11日

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