原著
レーザードップラー血流計を用いた術中門脈系臓器組織血行動態の検討
新井 善雄, 小山 研二, 浅沼 義博, 面川 進, 鹿嶋 秋五, 高橋 貞二, 白山 公幸, 吉田 節朗, 武正 寿明, 古屋 智規, 佐藤 勤
秋田大学医学部第1外科
手術侵襲の腹腔内臓器への影響をみるため,開腹術を施行した胃癌,胆道疾患,その他の疾患30例について,レーザードップラー血流計による術中の肝,胃,小腸組織血流量の変化を検索し,術後肝機能異常との関係についても検討した.その結果,肝組織血流量(左葉)は,胃亜全摘群(n=6),胃全摘群(n=5),胆道良性群(n=9),胆道悪性群(n=5),その他の群(n=5)で,それぞれ,手術中に79.0%,69.0%,114.3%,56.7%,97.8%となり,胃全摘群,胆道悪性群で減少が著しかった.一方,小腸組織血流量は,各群でそれぞれ,97.8%,125.1%,94.1%,101.7%,109.5%と維持されており,門脈血流量が維持され,肝動脈血流量が減少する間接的な所見と考えられた.トランスアミナーゼ値の変化では,胆道悪性群,一部の胆道良性群に高値を示し,肝への圧迫操作が肝機能に悪影響を与えると考えられた.
索引用語
laser doppler flow meter, tissue blood flow, surgical trauma, glutamate oxaloacetate transaminase
別刷請求先
新井 善雄 〒010 秋田市本道1-1-1 秋田大学医学部第1外科
受理年月日
1989年10月11日
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