症例報告
胃外有茎性発育を示した胃平滑筋芽細胞腫の1例
松下 一之, 坂本 昭雄, 碓井 貞仁, 朱 そう杰, 高石 聡, 鍋谷 圭宏, 尾崎 正彦, 唐司 則之, 奥山 和明, 小野田 昌一, 磯野 可一
千葉大学医学部第2外科
症例は65歳,女性.1988年7月,胃粘膜下腫瘍の診断のもと開腹し,胃体上部前壁に胃外有茎性腫瘤を認め,術中迅速組織検査にて胃平滑筋芽細胞腫と診断され,胃部分切除を施行した.腫瘍の切除標本の大きさは,3.5×2.5 cmで一部に出血を伴っていた.組織学的には,ヘマトキシリンーエオジン染色では,核は異型性に乏しく,核周囲に透明帯を有し,胞体は好酸性であり,鍍銀染色では,一部にalveolar patternが認められた.電子顕微鏡像ではdense patchを認め,本腫瘍が平滑筋由来であることが示唆された.今回集計しえた本邦における胃平滑筋芽細胞腫228例について検討したところ,最大腫瘍径が5 cm未満では手術時に転移,直接浸潤を認めず,また予後の明らかな69例の10年生存率は88.8%であり,この内手術時に転移,他臓器直接浸潤を示した13例の予後は5年生存率が71.3%,10年生存率が47.5%であった.
索引用語
submucosal tumor of the stomach, extragastric tumor with peduncle, leiomyoblastoma of the stomach
別刷請求先
坂本 昭雄 〒280 千葉市亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第2外科
受理年月日
1989年10月11日
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