卒後教育セミナー
内視鏡を併用した肝内結石症の精密診断と合理的治療
二村 雄次
名古屋大学医学部第1外科
肝内結石症の難治例に対しては,まずPTCSで切石しながら選択的胆管造影,内視鏡観察を併用して,肝内胆管の区域解剖および結石生成の原発病巣などを精密診断し,的確な治療法を決定した.肝内胆管病変に対しては肝区域切除,肝外胆管病変に対しては胆管切除,胆管空腸吻合を行った.
ビリルビン系石70例中47例(67.1%),コレステロール系石21例中15例(71.4%)にPTCSが併用され,そのうちそれぞれ13例(27.7%),4例(26.7%)に肝切除が行われ,これらの症例には術後有症状例あるいは再発例は全くない.治療を行った91例のうち77例(84.6%)が治療後無症状で経過良好である.
有症状例10例中7例に胆管炎が発生し,また遺残あるいは再発結石の8例中7例に再度PTCSを行い経過は良好である.結石再発による死亡例は1例(1.1%)のみである.
PTCSによる非観血治療を伴なう精密診断が治療成績向上につながると思われた.
索引用語
intrahepatic stone, endoscopic lithotomy, cholangioscopy
別刷請求先
二村 雄次 〒466 名古屋市昭和区鶴舞町65 名古屋大学医学部第1外科
受理年月日
1989年10月11日
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