卒後教育セミナー
肝内結石に対する肝切除
中村 光司
東京女子医科大学消化器外科
過去21年間に経験した肝内結石症186例を対象に,成因,肝切除の適応,成績,予後について検討した.成因を先天性成因と後天性成因とに分類すると,年次別推移では先天性成因の増加がみられ,その73%に肝切除が施行されている.治療に際しては従来より先天性成因と考えられる肝内胆管の狭窄,嚢腫状拡張を認める例や,後天的な肝実質の高度障害,肝膿瘍などを認める例は肝切除の適応と考え,66例に肝切除を施行してきたが,手術死亡は1例もなく,肝切除は安全な術式といえる,術後1年以上経過例の検討では,偏葉型は肝切除にて95%に良好な遠隔成績が得られ,根治的と考えた.両葉型は主たる病巣側の肝切除と残存肝内結石に対する非観血的切石法にて77%に良好な遠隔成績を得ている.肝切除に関して大切なことは不良例の原因である肝内拡張胆管や狭窄部などの肝内病変を残さない術式を選択することである.
索引用語
intrahepatic stones, pathogenesis of intrahepatic stones, hepatectomy for intrahepatic stones
別刷請求先
中村 光司 〒162 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器外科
受理年月日
1989年10月11日
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