症例報告
胆嚢異所性胃粘膜の1例
村上 義昭, 今村 祐司, 瀬分 均, 藤本 三喜夫, 竹末 芳生, 児玉 節, 横山 隆
広島大学医学部第1外科
腹部超音波検査にて偶然に腫瘤を発見され,手術の結果,胆嚢の異所性胃粘膜(以下,本疾患と略す.)と判明した1例を経験したので報告した.患者は,44歳,男性で,特に症状は認めなかったが,腹部超音波検査にて,胆嚢体部に直径10.4 mm大のhigh echo areaの山田III型の胆嚢ポリープを,内視鏡的逆行性胆管造影にても胆嚢の隆起性病変を認めたため,悪性疾患を考慮して手術を施行した.手術は,術中の迅速病理診にて悪性所見を認めなかったので胆嚢摘出術のみを施行したが,術後の病理学的診断にてポリープは胆嚢粘膜層に存在,胃底腺組織よりなる,本邦における7例目の胆嚢の異所性胃粘膜であった.本疾患はまれな疾患でありその術前診断は容易ではないが,画像診断の進歩により今後もその報告が増加することが予想される.
索引用語
heterotopic gastric mucosa in the gallbladder
別刷請求先
村上 義昭 〒734 広島市南区霞1-2-3 広島大学医学部第1外科
受理年月日
1989年11月8日
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