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第23巻 第3号 1990年3月 [目次] [全文 ( PDF 466KB)]
症例報告

胃膵同時重複癌の1切除例

鈴木 修一郎, 津沢 豊一, 霜田 光義, 白崎 功, 山本 克弥, 中嶋 良作, 佐伯 俊雄, 小田切 治世, 田沢 賢次, 藤巻 雅夫

富山医科薬科大学第2外科

 胃癌に他臓器癌を合併することは決してまれではない.しかし,その中では膵癌との合併は比較的まれであり,さらに両者とも切除しえるのはさらに少ない.今回,膵癌,胃癌ともに治癒切除をしえた胃膵同時重複癌の1例を経験したので報告する.
 症例は56歳,男性で定期検診をきっかけに胃膵同時重複癌と診断され手術を行った.手術は胃全摘,膵脾合併切除をすることにより治癒切除を施行しえ,かつ,膵癌切除後の後方剥離面を中心として術中照射を40 Gyかけた.しかし,術後4か月目に腹膜再発を,9か月目に癌性腹膜炎にて死亡した.
 胃膵同時重複癌で治癒手術を行いえた報告例は自験例を含め9例である.その内,術前胃膵重複癌と診断したのは4例のみであった.日常診療や手術に際し常に他臓器癌を念頭におき,十分な精査治療を行うように心がけるべきである.

索引用語
primary double cancer of the stomach and the pancreas, pancreatic cancer, gastric cancer

日消外会誌 23: 767-771, 1990

別刷請求先
鈴木修一郎 〒930-01 富山市杉谷2630 富山医科薬科大学第2外科

受理年月日
1989年11月8日

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