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第23巻 第3号 1990年3月 [目次] [全文 ( PDF 473KB)]
症例報告

胆嚢転移をみとめた胃癌の1症例

神野 正博, 出口 康, 表 和彦, 秋本 龍一

浅ノ川総合病院外科

 胆嚢に悪性腫瘍が転移することはきわめてまれな病態とされ,本邦においては3例の異時性転移性胆嚢腫瘍が報告されているにすぎない.症例は44歳男性で,心窩部不快感,腹部膨減感を主訴に来院した.諸検査にて胃体部小弯前壁を中心とするボールマンIII型胃癌と小網内リンパ節転移,胆嚢内ポリープ様病変をみとめた.また,血液検査所見にて軽度貧血とCEA値の高値をみた.以上より進行胃癌および胆嚢ポリープの診断で開腹したところ,H0P2S2 N4(+),Stage IV胃癌と胆嚢粘膜下腫瘍様病変をみとめた.病理組織学的に胃癌は低分化腺癌で,se,ly2,V0であり,胆嚢腫瘍は胆嚢壁内の間質間に腺癌細胞の浸潤をみた.ともにPAP法によるCEA染色は陽性であった.本例はN4(+),P2進行胃癌における多彩なリンパ管閉塞とそれに伴うリンパ行路の異常の存在により胆嚢壁の間質間に転移を認めたものと推察された.

索引用語
metastatic carcinoma of gallbladder, gastric cancer

日消外会誌 23: 772-776, 1990

別刷請求先
神野 正博 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科

受理年月日
1989年11月8日

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