症例報告
非観血的整復術後に手術を行った閉鎖孔ヘルニアの1例
船戸 崇史, 市橋 正嘉, 乾 博史, 多羅尾 信, 後藤 明彦
羽島市民病院外科
閉鎖孔ヘルニア(以下,本症)は比較的まれで,死亡率の高い疾患である.しかし近時,本症の概念の浸透に伴い,術前診断率は向上し,今後,本症の非観血的整復術(以下,本整復術)の正否が問われるようになると考えられる.今回われわれは,本整復術の1例を経験したので,報告するとともにその適応についても若干の文献的考察を加えた.
患者は84歳,女性.突然の腹痛と右大腿部痛を訴え救急外来を受診した.閉鎖孔ヘルニアを疑い,腟診と骨盤部computed tomographyを行ったところ,右閉鎖孔部に一致して腫瘤像を認めた.本症と確定診断し経腟的に整復術を試みたところ,症状は劇的に改善し,閉鎖孔を触れるようになった.その後,待期的に開腹術を施行したところ,小腸には循環障害を認めず,また閉鎖孔以外に責任病変は認められないため,腸管切除することなく閉鎖孔を閉じ手術を終了した.
索引用語
strangulated obturator hernia, noninvasive reduction of the obturator hernia
別刷請求先
船戸 崇史 〒501-62 羽島市新生町3-246 羽島市民病院外科
受理年月日
1989年11月8日
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