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第23巻 第4号 1990年4月 [目次] [全文 ( PDF 530KB)]
症例報告

食道裂孔ヘルニアに合併し,縦隔内に及んだと思われる膵仮性嚢胞の1治験例

黄 泰平, 宮田 正彦, 小川 法次, 伊豆 蔵正明, 中村 正廣, 北川 透, 山口 時雄, 中尾 量保, 川島 康生

大阪大学第1外科

 食道裂孔ヘルニアを合併した縦隔内膵仮性嚢胞の1例を報告するとともに,本邦および欧米の縦隔内膵仮性嚢胞35例の文献的考察を行った.症例は54歳の男性で,慢性膵炎の既往があり,主訴は腹痛,背部痛であった.上部消化管造影で著明な下部食道の圧排像およびcomputed tomographyにて縦隔内に径5 cmの嚢胞像を認めた.しかし,5か月後には縦隔の嚢胞は径2 cmに縮小し,新たに膵尾部に径7 cmの嚢胞を認めた.開腹手術にて膵尾側切除を行い,同時に食道裂孔を通して縦隔内嚢胞を摘出した.本邦および欧米の35報告例について検討した.非手術症例の4例中2例が死亡,2例が自然消失している.手術療法では,縦隔内嚢胞が腹腔内嚢胞と交通のある症例に対しては腹腔内嚢胞のドレナージ手術が行われており,交通のない症例では縦隔内嚢胞の外瘻術または摘出術が行われている.

索引用語
mediastinal pancreatic pseudocyst, esophageal hiatus hernia

日消外会誌 23: 914-918, 1990

別刷請求先
宮田 正彦 〒553 大阪市福島区福島1-1-50 大阪大学医学部第1外科

受理年月日
1989年12月13日

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