Quality of lifeからみた胸部食道癌に対する頸部上縦隔拡大リンパ節郭清の評価

平山　克, 西平　哲郎, 北村　道彦, 森　昌造

東北大学第2外科

　昭和61年1月から63年12月までの3年間に東北大学第2外科で切除した胸部食道癌104例のうち，右開胸による病巣の切除を行い，R-II以上の郭清を行った89症例を対象として，quality of lifeの面から，頸部上縦隔拡大リンパ節郭清（11症例）の評価について，通常郭清（78症例）との比較検討を行った．
　手術直接死亡は両群を通して1例もなかった．気道粘膜の発赤は，拡大郭清例において若干目立つ程度であったが，術後の咳嗽反射の減弱は拡大郭清例において明らかに遷延し，一過性反回神経麻痺の発生頻度も拡大郭清例の方が有意に高率であった．しかし，肺合併症の発生率は両群に差はなく，遠隔時期における呼吸機能も良好であった．
　アンケート調査による術後遠隔時期の生活状況に関する検討では，両群の間には驚く程に差がなく，quality of lifeの面からみても，頸部上縦隔拡大郭清の評価は良好といえる．

索引用語
cervical and extended upper mediastinal lymph node dissection for thoracic esophageal cancer, Quality of life of esophageal cancer patients, respiratory function after radical operation for thoracic esophageal cancer

別刷請求先
平山　克　〒980　仙台市青葉区星陵町1-1　東北大学医学部第2外科

受理年月日
1989年11月8日

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