特集
手術術式からみた胃癌患者術後のquality of life
羽生 丕, 鴻野 雅司, 谷 雅夫, 本田 徹, 神戸 文雄, 斉藤 直也, 佐藤 康, 竹下 公矢, 砂川 正勝, 遠藤 光夫
東京医科歯科大学第1外科
胃癌の術式別にquality of lifeを調べるため,治癒切除後1年以上たった患者318例にアンケートを郵送し,291例より回答を得た.設間は13問で,それらをI愁訴・通院,II食事・排便,III日常生活・仕事,IV経済的負担,V精神的負担,VI趣味・交際の6項目に大別した.各設問の答えをスコア化し各項目の合計スコアを術式別に比較した.
胃全摘例(n=87)は幽門側切除例(n=204)に比べて項目I,V,VIと総合スコアで劣っていた.他臓器合併切除例(n=43)はその他の例(n=248)と比べて項目I,III,V,VI,と総合スコアが不良であった.開胸の有無に関してはいずれの項目でも有意差を認めなかった.リンパ節郭清が第2群リンパ節までの症例は,それが第3群以上の症例に比べて項目IVで劣っていた.「愁訴のある者」は全項目の成績が不良であり,愁訴の解消はquality of lifeの改善に有効と思われた.
索引用語
patients with gastric cancer, operative procedures, quality of postoperative life
別刷請求先
羽生 丞 〒113 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第1外科
受理年月日
1989年11月8日
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