手術成績およびquality of lifeからみた胆道癌に対する肝膵同時切除の意義

吉川　達也, 羽生　富士夫, 中村　光司, 今泉　俊秀, 三浦　修, 中迫　利明, 藤田　徹, 吾妻　司, 小川　佳子

東京女子医科大学消化器外科

　胆道癌に対する肝膵同時切除（hepatopancreatoduodenectomy以下HPDと略す）の意義を明らかにする目的で，胆道癌HPD 50例の手術成績とHPD l年以上経過例16例のquality of lifeに関する検討を行った．更に，うち1 年以上生存中の7 例については膵頭十二指腸切除（pancreatoduodenectomy以下PDと略す）後1年以上生存中16例を対照としてquality of lifeに関するアンケート調査を行い，以下の結論を得た．HPDの直接死亡率は26％で，うち拡大肝右葉切除＋PD例では63％と高率で，それ以下の肝切除量では3.2％にすぎなかった．HPDの治癒切除率は38％であり，耐術36例の3年生存率は19％，治癒切除に限れば46％であった．1年以上経過例16例のquality of lifeはperformance status 0，1が13例（81％）を占め，PD 1年以上生存例16例と比較しても遜色なく，ほぼ満足できる結果であった．以上より胆道癌に対する肝膵同時切除は意義あるものと考える．

索引用語
cancer of the biliary tract, hepatopancreatoduodenectomy, pancreatoduodenectomy, quality of life

別刷請求先
吉川　達也　〒162　新宿区河田町8-1　東京女子医科大学消化器病センター

受理年月日
1989年12月13日

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