多発性ガストリノーマ根治的切除のための新しい診断法の開発とその成績

今村　正之, 嶋田　裕, 服部　泰章, 戸部　隆吉

京都大学医学部第1外科

　Zollinger-Ellison（ZE）症候群患者に対する治療方針は，1955年に初めて本症候群が記載されて以来変遷を経て，現在ではH₂受容体拮抗剤などで胃酸分泌を抑制しつつ，gastrinomaを切除するのが最も良いと考えられる．私達はsecretinのgastrinomaに対する直接作用を応用した局在診断法，選択的動脈内secretin注入法を開発した．10人のZE患者全員の局在診断が可能で，手術に同意した5人の根治的切除に成功し，術中secretin試験と共に用いることによりgastrinomaの根治術に有用と考えられた．

索引用語
gastrinoma, selective arterial secretin injection test, curative resection of gastrinoma

別刷請求先
今村　正之　〒606　京都市左京区聖護院川原町54　京都大学医学部第1外科

受理年月日
1989年11月8日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です