原著
胸部食道癌術後の嚥下性肺炎
日月 裕司, 渡辺 寛, 加藤 抱一
国立がんセンター外科
胸部食道癌切除手術297例を対象として,術後の嚥下性肺炎と反回神経麻痺との関係,嚥下性肺炎の予防について検討した.19例(6%)に術後に肺炎を生じた.嚥下性肺炎15例の73%に反回神経麻痺を認めた.気管気管支内の喀痰の貯留が肺炎の原因と考え,術後は全例に気管支ファイバースコープを用いて気管気管支内の吸引を行った.また,13例に肺炎の予防のために気管内に細径チューブを穿刺挿入した.さらに,反回神経麻痺を嚥下性肺炎の誘因と考え,気管支ファイバースコープを用いた声帯内注入を16例に行い,5例は術後7日以内に行った.嚥下性肺炎の発生および進行の予防に,気管支ファイバースコープを用いた気管気管支内吸引,気管内細径チューブの挿入,さらに反回神経麻痺を伴う場合には術後早期の声帯内注入が有効と考えられた.
索引用語
esophageal cancer operation, aspiration pneumonia, postesophagectomy recurrent laryngeal nerve paralysis, intrafold injection of vocal cord
日消外会誌 23: 1029-1035, 1990
別刷請求先
日月 裕司 〒104 中央区築地5-1-1 国立がんセンター外科
受理年月日
1989年12月13日
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