原著
消化器外科手術侵襲の非特異的生体防御機構に及ぼす影響
児玉 節, 沖田 光昭, 竹末 芳生, 藤本 三喜夫, 瀬分 均, 村上 義昭, 今村 裕司, 津村 裕昭, 宮本 勝也, 松浦 雄一郎, 横山 隆1), 檜山 英三1)
広島大学医学部第1外科, 広島大学医学部総合診療部1)
手術侵襲が非特異的生体防御能に及ばす影響を検討するため,胆石,胃癌,大腸癌の93例を対象に顆粒球機能,急性相蛋白を手術侵襲を起点に経日的に測定した.どの疾患でも手術侵襲に対し,術後早期には顆粒球機能は亢進し,その後正常化,急性相蛋白は低下後,増加という変動を示した.しかし疾患群間で変動幅に有意を認めた.胆石では,顆粒球機能の亢進および急性相蛋白の低下は軽度で術後3-5日で術前値に復帰した.胃癌,大腸癌では顆粒球機能の亢進は術前値比2-3倍,急性相蛋白の低下も0.7-0.8と高度で,術前値への復帰も胆石に比べ時間を要した.手術侵襲が大きくなるほど,顆粒球機能は亢進するのに反し,顆粒球の障害性を抑制したり,オプソニン作用を有する急性相蛋白は低下した.それゆえ手術侵襲が大きくなるほど臓器障害が引き起されやすいことが示唆された.
索引用語
surgical aggression, granulocyte function, acute phase proteins
日消外会誌 23: 1121-1129, 1990
別刷請求先
児玉 節 〒734 広島市南区霞1-2-3 広島大学医学部第1外科
受理年月日
1990年1月10日
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