症例報告
腫瘍随伴性皮膚病変としての多形慢性痒疹を合併した食道癌の1例
中川 明彦, 平松 義文, 小島 善詞, 真田 俊明, 山中 英治, 川口 雄才, 日置 紘士郎, 山本 政勝, 赤枝 民世*
関西医科大学外科, *同 皮膚科
内臓悪性腫瘍に随伴してみられる皮膚病変は,皮膚悪性腫瘍症候群または腫瘍随伴性皮膚病変とよばれている.このカテゴリーに属する皮膚病変は多彩な病変が知られているが,内臓悪性腫瘍と同時か,あるいはそれに近い時期に発症し,悪性腫瘍の経過と並行して変化するのを特徴とするが,その病因は必ずしも明瞭ではない.今回,われわれは上記特徴を有する多形慢性痒疹を合併した食道癌の1例を経験した.症例は69歳女性で,食道癌の臨床症状が出現した時期に一致して,皮疹の程度が増強し,手術とともに皮疹が消退し,食道病変と皮膚病変とが極めてよく相関を示した.
本症例に見みられたparaneoplastic dermatosesとしての多形慢性痒疹の報告はわれわれが検索しえた範囲では第1例目のものである.
索引用語
paraneoplastic dermatoses, prurigo chronica multiforme, esophageal
日消外会誌 23: 1135-1138, 1990
別刷請求先
中川 明彦 〒570 守口市文園町1 関西医科大学外科
受理年月日
1990年1月10日
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