症例報告
急性腸間膜動脈閉塞症7例の検討
川北 直人, 裏川 公章, 中本 光春, 山口 俊昌, 田中 宏明, 磯 篤典, 西尾 幸男, 植松 清, 岩越 一彦*
神戸労災病院外科, *同 消化器内科
当科にて経験した急性腸間膜動脈閉塞症7例を対象とし,臨床的特徴,予後に影響する因子などについて検討した.平均年齢は68.3歳,全例に循環器系疾患などの併存を認めた.アシドーシスを5例(71.2%),白血球増多を4例(57.1%)に認めた.全例に小腸広範囲切除を施行し,4例(57.1%)が直死した.直死例の平均年齢は75.8歳と高く,また発症より手術までの平均時間は78時間で,生存例の16時間に比べて長い傾向を示した.白血球増多例の75.0%が直死したのに対して,白血球正常例の直死は33.3%のみであった.直死4例のうち3例は,術後再度の血行障害によると思われる縫合不全や消化管穿孔を契機として死亡した.本症の予後を向上させるためには,術後の腸管壊死を避けるために種極的な腸切除が必要であるが,それ以前に血管造影などを駆使した早期診断が重要と思われた.
索引用語
acute mesenteric arterial occlusive disease, massive resection of small intestine, the prognosis of acute mesenteric arterial occlusive disease
日消外会誌 23: 1159-1163, 1990
別刷請求先
川北 直人 〒651 神戸市中央区篭池通4-1-23 神戸労災病院外科
受理年月日
1989年12月13日
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