症例報告
肝管走行異常(副肝管)の1例
落合 匠, 榊原 宣, 東 昇1), 中川 浩之1)
順天堂大学医学部外科学教室(外科学第一), 三郷順心病院外科1)
胆道には走行異常が多いことが知られている.その一つに肝管走行異常(副肝管)がある.今回,比較的まれな肝管走行異常の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した.
症例は38歳女性,昭和64年1月2日右季肋部痛出現,他院にて鎮痛剤を投与されるも1月6日再び同部位に疼痛出現し当科へ緊急入院となった.腹部超音波検査にて胆嚢内に多数のstrong ehhoが認められ胆石症と診断した.内視鏡的逆行性胆道・膵管造影検査にて胆嚢管が副肝管に開口する肝管走行異常が認められた.手術は,まず胆嚢底部より胆嚢を剥離し,最後に胆嚢管を切離する方法を行った.術中胆道造影にて副肝管の損傷がないことを確認後,総胆管切開切石ドレナージ術を加えた.
経験した肝管走行異常は,宮川の分類ではType IIに属する比較的まれなものであった.
索引用語
accessory hepatic duct, endoscopic retrograde cholangiopancreatography operative cholangiography
日消外会誌 23: 1164-1167, 1990
別刷請求先
落合 匠 〒113 文京区本郷2-1-1 順天堂大学医学部第1外科
受理年月日
1990年1月10日
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