症例報告
閉塞性化膿性胆管炎術後に発生した非ケトン性高浸透圧性昏睡の1例
塩貝 陽而, 松田 孝一, 阿部 元, 小玉 正智*
野洲病院外科, 滋賀医科大学第1外科*
インスリン非依存型糖尿病の既往歴を有する63歳男性の急性閉塞性化膿性胆管炎術後に非ケトン性高浸透圧性昏睡が発症した.いずれも重篤な疾患であるが治癒させえた.臨床経過は,胆石による化膿性胆管炎術後4日目に顔面筋痙攣を初発症状として発症し,翌日に四肢の痙攣と意識障害が生じ,翌々日には昏睡となった.昏睡時の血糖値1,550 mg/dL,血清浸透圧406 mOsm/L,ケトン体陰性などの所見より非ケトン性高浸透圧性昏睡と診断した.本症昏睡の誘因はインスリン非依存型糖尿病の基礎疾患,重症感染症,手術侵襲,中心静脈栄養,肝障害および高齢などである.本昏睡は元来,内科領域の疾患であるが,糖尿病患者の増加とtotal parenteral nutrition(TPN)の普及などに伴って外科患者における本昏睡の発症が増加しており,外科医も本疾患に精通している必要がある.
索引用語
postoperative non-ketotic hyperosmolar coma, acute obstructive suppurative cholangitis due to choledocholithiasis
日消外会誌 23: 1178-1181, 1990
別刷請求先
塩貝 陽而 〒520-23 滋賀県野洲郡野洲町小篠原1094 野洲病院外科
受理年月日
1990年1月10日
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