食道癌肝転移例の検討

横山　康弘, 久保　良彦, 野坂　哲也, 池田　康一郎, 平田　哲, 植田　守, 八柳　英治, 鈴木　洋, 杉本　泰一

旭川医科大学第1外科

　予後の評価可能な自験食道癌94例の肝転移について検討した．食道癌肝転移は16例（17％）に認められ，切除術後肝転移が12例，非切除肝転移が4例であった．16例中11例（69％）はEi症例であった．食道癌肝転移は複合再発例が多く，全例切除不能なH₂またはH₃であった．切除術後肝転移12例はリンパ節転移（特に腹腔内転移）や脈管内侵襲の高度なものが多く，stage IVが9例（75％）を占めた．術後化学療法施行9例は非施行3例に比べ，再発までの期間（平均5.6か月vs 2.7か月），再発後の生存期間（平均5.0か月vs 2.6か月）が長い傾向であった．特に，肝動注療法は肝転移後の延命やquality of lifeの改善に有効であり，食道癌の肝転移にも積極的に施行すべきであると思われた．非切除肝転移4例の予後（平均3.0か月）はきわめて不良であった．

索引用語
esophageal cancer, liver metastasis, hepatic arterial infusion chemotherapy

別刷請求先
横山　康弘　〒078　旭川市西神楽4線5号3-11　旭川医科大学第1外科

受理年月日
1990年3月7日

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