原著
胃切除後長期経過例の血液・栄養所見と食道炎
前田 廸郎, 清水 哲, 浜副 隆一, 村上 篤信, 太田 道雄, 貝原 信明, 古賀 成昌
鳥取大学第1外科
食道癌185例中20例の胃切除後食道癌を経験した.胃切除が食道癌発生に関与する可能性のある因子として,血液・栄養障害,および食道炎などがあげられている.このため,良性疾患による胃切除後長期経過例62例を対象にして,血液・栄養所見,食道炎の有無などについて検討し,胃切除後食道癌発生との関連について考察した.その結果,血液・栄養所見については著明な障害はみられなかった.内視鏡的食道炎は15例(24%)で下部食道を中心にみられた.組織所見では急性,慢性食道炎はそれぞれ100%,69%にみられた.26例(42%)に異形成がみられ,下部食道にいたるほどその頻度,程度が高くなる傾向がみられた.胃切除とその後の食道癌発生に何らかの関連があるとすれば,血液・栄養障害よりも逆流性食道炎がより関与する可能性が示唆された.
索引用語
postgastrectomy esophageal cancer, blood and nutritional findings in patients with esophageal cancer
日消外会誌 23: 1796-1800, 1990
別刷請求先
前田 廸郎 〒683 米子市西町36-1 鳥取大学医学部第1外科
受理年月日
1990年2月14日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|