原著
肝切除前後における門脈循環動態および肝組織血流量の変動―133Xe門脈シンチグラフィーによる検討―
安田 直史1), 佐々木 洋, 今岡 真義, 柴田 高, 和田 尚, 永野 浩昭, 岩永 剛, 中野 俊一*, 長谷川 義尚*
大阪府立成人病センター外科, 同 アイソトープ診療科*, 1)現在大阪大学医学部第2外科教室
肝癌にて肝切除術を受けた27例について,術前術後に経脾門脈シンチグラフィーを施行し,門脈血行動態および局所肝組織血流量の変化について検討した.Porto-systemic shuntに関しては27例中5例(18.5%)で,術前とは異なった状態が観察され,さらにシャント例では術後合併症を起こす率が高かった.非シャント例における局所肝組織血流量の変化の検討では,変化率は平均1.36±0.63で,一般に増加していた.なかでも術前肝機能の良好な例,非硬変例や,切除肝重量の大きなもので増加率が高い傾向がみられたが,手術時間,出血量,術中の肝血行遮断の有無などとは明確な関係がみられなかった.また切除葉に関しては,右葉側切除の方が残肝の組織血流量の増加が大きかった.
索引用語
scintiphotosplenoportography, portal hemodynamic change after hepatic resection, regional hepatic blood flow
日消外会誌 23: 1838-1841, 1990
別刷請求先
安田 直史 〒553 大阪市福島区福島1-1-50 大阪大学医学部第2外科
受理年月日
1990年2月14日
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