噴門側胃切除・有茎空腸間置術後の食道静脈瘤の2症例

福田　正春, 芦田　寛, 寺方　聡一, 高木　一光, 西岡　昭彦, 橋本　直樹, 琴浦　義尚, 石川　羊男, 宇都宮　譲二

兵庫医科大学第2外科

　噴門側胃切除・有茎空腸間置術（以下本術式）術後に挙上有茎空腸脚を介した食道静脈瘤の発生および再発を認めた2例を経験した．症例1（63歳，男性）は，14年前に食道胃接合部潰瘍出血に対し本術式施行（輸血3,000 ml）．症例2（55歳，女性）は，特発性門脈圧亢進症症例であり，食道静脈瘤術後再発および残胃カルチノイド対し本術式を4年前に施行．両者とも食道静脈瘤破裂にて緊急入院，数回の硬化療法で食道静脈瘤の消失を認めており，6か月後の現在再出血は無い．
　2例の腹部血管造影の検討では，症例2は門脈より連続する拡張した空腸脚静脈が静脈瘤を形成しており，かかる症例の静脈瘤発生・再発の典型像といえた．一方，症例1では有茎空腸に沿って拡張・蛇行した側副血行路が静脈瘤に連続しており，拡張した空腸脚静脈は認めておらず，挙上空腸脚におるhyperdynamic stateの存在が考えられた．

索引用語
esophageal varices after interposed esophagojejunostomy, endoscopic sclerotherapy

別刷請求先
芦田　寛　〒663　西宮市武庫川町1-1　兵庫医科大学第2外科

受理年月日
1990年3月7日

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