症例報告
卵巣皮様嚢腫を疑われた小腸および小腸間膜リンパ管腫の1例
木山 輝郎, 恩田 昌彦, 水谷 崇, 小林 匡, 沖浜 裕司, 松倉 則夫, 徳永 昭, 田中 宣威, 森山 雄吉, 荒木 勤*, 浅野 伍朗**
日本医科大学第1外科, 産婦人科*, 第2病理**
患者は26歳,女性.下腹部痛,不正性器出血が出現したため近医を受診し,左側卵巣腫瘤(皮様嚢腫)と診断された.当院産婦人科に入院し,内診,超音波検査にて子宮の上方に境界不鮮明,超手拳大の腫瘤がみられた.腹部computed tomography,超音波検査にて境界不鮮明,内部不均一,最大径8×4 cmの腫瘤を下腹部に認めた.開腹術施行し,回盲部より口側に10 cmから50 cmの小腸および小腸間膜に嚢胞性腫瘤が認められ,その内容は乳び様であった.小腸切除,卵巣楔状切除術を施行した.病理組織学的診断は海綿状リンパ管腫であった.
リンパ管腫が小腸に発生することはまれであり,その解剖学的特徴から術前診断は困難とされている.卵巣デルモイド腫瘍が疑われた小腸および小腸間膜リンパ管腫の1例を報告した.
索引用語
lymphangioma, ileum, iliac mesentery
日消外会誌 23: 1921-1923, 1990
別刷請求先
木山 輝郎 〒113 文京区千駄木1-1-5 日本医科大学第1外科
受理年月日
1990年2月14日
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