原著
同時性多発胃癌の臨床病理学的検討
村元 雅之, 水野 勇, 谷本 典隆, 赤毛 義実, 市野 達夫, 斉藤 高明, 石川 雅一, 倉橋 伸吾, 加藤 文彦, 宮池 英夫, 品川 長夫, 由良 二郎
名古屋市立大学第1外科学教室
過去18年間に教室で経験した多発胃癌症例について検討した.多発胃癌の定義はMoertelらの基準によった.
胃癌症例692例中同時性多発胃癌は24例(3.4%)に認められ,2多発癌22例,3多発癌2例であった.主・副病巣とも胃中部領域に存在するものが7例と最も多かった.副病巣には早期癌が比較的多かった.多発早期胃癌では陥凹型と隆起型の組み合わせは1例のみであった.組織型の組み合わせでは,主・副病巣とも分化型を呈するものが14例(58.3%)に認められた.副病巣が胃上部領域に存在する6例は,組織学的に副病巣の方がより低分化であった.
中下部領域胃癌に対して幽門側胃亜全摘出術を施行する際には,術前および術中に胃上部領域の検索を行い,併存する癌病巣を見逃さないよう十分な注意が必要である.
索引用語
double cancer, multiple gastric carcinoma, primary gastric carcinoma
日消外会誌 23: 2045-2050, 1990
別刷請求先
村元 雅之 〒467 名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1 名古屋市立大学医学部第1外科
受理年月日
1990年4月11日
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