原著
大腸癌イレウス症例の臨床病理的検討―とくに絞扼型(string-stricture type)について―
中越 享, 佐藤 哲也, 石川 啓, 宮下 光世, 高平 良二, 草野 裕幸, 清水 輝久, 平野 達雄, 下山 孝俊, 三浦 敏夫, 富田 正雄
長崎大学第1外科
イレウスを来す大腸癌の中でも狭窄部分を漿膜側からみると紐でしめたように見えるいわゆる「絞扼型」の癌の特徴を明らかにする目的にて,「絞扼型」22例(53.7%)を「非絞扼型」19例(46.3%)と臨床病理学的に比較検討した.「絞扼型」は,病悩期間は1か月以内のものが11例(50.0%)と短いものが多く,緊急手術になる率が14例(63.6%)と高い.左側大腸とくにS状結腸に11例(50.0%)と多い.腫瘍縦径では小さく,むしろ横軸方向へ進展する.病理組織型では特徴を持たない.Dukes分類では,Dukes'CとDの占める割合は15例(68.2%)と進行したものが多く,核DNA量はaneuploidyの占める割合が78.6%(11/14)と高く,悪性度の高さを示唆するとともに,治癒切除例の5年生存率でも「非絞扼型」の61.5%(8/13)に比べ,15.4%(1/13)と予後不良であった.
索引用語
string-stricture type of colorectal carcinoma, obstructing carcinoma, nuclear DNA contents
日消外会誌 23: 2083-2088, 1990
別刷請求先
中越 享 〒852 長崎市坂本町7-1 長崎大学医学部第1外科
受理年月日
1990年4月11日
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