中心静脈カテーテル留置に伴う合併症―特に真菌性眼内炎の問題点とその対策―

岡本　隆一郎, 平松　義文, 北出　浩章, 真田　俊明, 小島　善詞, 川口　雄才, 日置　紘士郎, 山本　政勝, 三木　弘彦^＊, 宇山　昌延^＊

関西医科大学外科, 同　眼科^＊

　1986年より1988年までの3年間に当科に入院した消化器外科疾患患者のうち高カロリー輸液施行症例715例を対象として，カテーテル留置に伴う合併症発生頻度を検索し，同期間中に発生した真菌性眼内炎の4例の経験からその治療上の問題点と対策について検討した．カテーテル敗血症発生頻度は17.4％であり，カテーテルの先端培養陽性率は55例/152例（36％），このうち31例，56％と過半数が真菌陽性例であった．内因性真菌性眼内炎は4例で，その発生率は0.4％であり，カテーテル敗血症例を母集団とした場合の頻度は2.6％となった．内因性真菌性眼内炎では早期診断，早期治療がその予後を大きく左右するため，カテーテル敗血症を認めた際には，即時カテーテルを抜去し内因性真菌性眼内炎の発生を念頭において，眼症状についての十分な問診と眼科専門医による眼底検査を行うべきである．

索引用語
total parenteral nutrition, complications of central venous catheter, sepsis due to central venous catheter, fungal endophthalmitis, endogenous candidiasis

別刷請求先
平松　義文　〒570　守口市文園町1　関西医科大学外科

受理年月日
1990年4月11日

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