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第23巻 第8号 1990年8月 [目次] [全文 ( PDF 482KB)]
症例報告

食道憩室を伴う成人の先天性食道気管支瘻の1治験例

黒田 豊, 本郷 碩, 酒井 秀則, 倉田 悟, 中安 清, 亀井 敏昭

山口県立中央病院外科, 同 病理

 まれとされている食道憩室を伴う成人の先天性食道気管支瘻を経験した.症例は27歳,女性で主訴は飲水時の咳嗽である.中学生のころより飲水時むせることが多かったが,27歳時上腹部不快感,嘔気を覚え,食道胃透視を受け食道気管支瘻の診断を受けた.食道内視鏡所見上,胸部中部食道に憩室が存在し,その中央に瘻孔の開口部を認め,この奥に気管支粘膜がみられた.同部を生検し多列繊毛上皮を認めた.手術所見上,瘻管は胸部中部食道と右B7気管支の間に存在し,直径1 cm,長さ3 cmであり,その周囲には炎症性癒着やリンパ節の腫大は認めず,剥離は容易であった.切除標本はほぼ全体が憩室であり,重層扁平上皮から繊毛上皮への移行部は確認されなかったが,内視鏡所見および内視鏡的瘻孔生検所見を加味し,移行性は十分に推測された.以上より成人の先天性食道気管支瘻のうちBraimbridge分類のI型と診断した.

索引用語
congenital esophago-bronchial fistula, esophageal diverticulum, Braimbridge type I

日消外会誌 23: 2094-2098, 1990

別刷請求先
黒田 豊 〒747 防府市大字大崎77 山田県立中央病院外科

受理年月日
1990年3月7日

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