症例報告
結節性多発動脈炎による十二指腸潰瘍出血・穿孔の1例
金平 永二, 川浦 幸光, 大村 健二, 疋島 寛, 牛島 輝明, 中野 一郎, 矢崎 潮, 岩 喬
金沢大学医学部第1外科
症例は54歳男性.高度の腎不全のため血液透析などによる治療を施行中に吐血,下血を認めた.内視鏡検査にて十二指腸潰瘍からの出血と判明し,内視鏡的止血を繰り返したが,潰瘍は難治性であったため手術適応として外科に紹介された.開腹したところ十二指腸前壁にいわゆるpunched out型の穿孔を認め,広範囲胃切除術を施行した.病理組織検査にて胃十二指腸の動脈に全層性のフィブリノイド壊死を認め,結節性多発動脈炎(PN)と診断した.ただちにステロイド療法を開始したところ,吻合部出血や縫合不全を免れ,術後4か月経過した現在,患者は内科にて維持療法施行中である.
PNでは腸管の動脈が冒されるとその閉塞により潰瘍形成,穿孔,壊死を合併することが知られているが,文献上は空腸,回腸がほとんどで,十二指腸の穿孔はまれである.
索引用語
polyarteritis nodosa, bleeding and perforation of duodenal ulcer
日消外会誌 23: 2119-2123, 1990
別刷請求先
金平 永二 〒920 金沢市宝町13番1号 金沢大学医学部第1外科
受理年月日
1990年4月11日
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