症例報告
胆石症を併存したDubin-Johnson症候群の1例
石村 美樹, 真鍋 邦彦, 田口 和典, 田村 元, 大村 孝志, 内野 純一
北海道大学第1外科
胆石症を併存したDubin-Johnson症候群(以下D-J症候群)の1手術例を報告する.症例は35歳の男性で黄疸,右季肋部痛を主訴とし,点滴静注胆嚢・胆管造影法で,結石の有無は不明であったが,超音波検査で胆嚢内に音響陰影を伴った結石エコーが描出された.摘出胆嚢内には,コレステロール含量98%以上の327個のコレステロール胆石があった.術後肝機能検査所見は術前とほとんど変わりなく,術後3日では血清総ビリルビン5.6 mg/dl,直接型ビリルビン4.0 mg/dlと最高値を示したが,経過は良好で,術後11日で退院した.1988年までの胆石症を併存したD-J症侯群の本邦報告例は本症例を含めて24例であった.D-J症候群を併存しない胆石症手術例の年齢分布と比較して,報告された24例中では10代,20代の若年者に胆石の併存が多かった.D-J症候群の患者が腹痛を訴えた時は,胆石症の併存も考慮して超音波検査を第一に行うことが必要である.
索引用語
D-J syndrome with gallstone
日消外会誌 23: 2129-2133, 1990
別刷請求先
石村 美樹 〒060 札幌市北区北15条西7丁目 北海道大学医学部第1外科
受理年月日
1990年4月11日
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