卒後教育セミナー
機能上からみた直腸肛門手術:肛門部手術
吉雄 敏文
東邦大学第1外科
肛門部手術後の患者アンケート調査によって下着汚染が内痔核手術後の25%,痔瘻手術後の40%に認められた.内痔核の結紮切除時の残存肛門上皮の面積に注意し,前・側方向での低位筋間痔瘻,高位筋間痔瘻,坐骨直腸窩痔瘻ではcore-out法による括約筋温存術式が必要であろうと考えられた.
肛門部手術後の障害としては粘膜脱,狭窄が多く,原因既往治療ではWhitehead手術,注射壊死療法が多いので,これらの治療法は行われるべきではない.
肛門括約機能不全の原因としては既往痔瘻手術による括約筋欠損が最も多く,痔瘻手術時の原則を守ることが重要である.半周以下の機能消失例にはsphincter repair operationを試みるべきで結果も良好であるが,それ以上の消失例にはreplacement operationが必要で,結果としても必ずしも満足なものが得られない.
索引用語
defecational functjon, anal manometric study, postoperative dysfunction following anal surgery
日消外会誌 23: 2157-2162, 1990
別刷請求先
吉雄 敏文 〒143 大田区大森西6-11-1 東邦大学医学部第1外科
受理年月日
1990年5月9日
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