原著
進行胃癌における原発巣および転移巣のDNA indexの検討
松本 尚, 米村 豊, 津川 浩一郎, 木村 寛伸, 大山 繁和, 鎌田 徹, 竹川 茂, 小坂 健夫, 山口 明夫, 三輪 晃一, 宮崎 逸夫
金沢大学第2外科
進行胃癌57例の原発巣および転移巣のDNA index(DI)をflow cytometerを用いて決定し,胃癌におけるDlの多様性(heterogeneity)の有無に関して検討した.原発巣内の数か所を検索したところ,36例(63%)に原発腫瘍内のDIの多様性を認めた.また原発巣と肝転移巣のDIを比較すると,原発巣内のstem lineのうちDIの大きなものが肝転移巣内に認められる傾向にあった(10例中7例).以上より,DNA ploidy patternを用いての予後の推測,治療法の選択の際にはDIの多様性を十分に考慮する必要があると考えられた.さらに原発巣と転移巣のDIの検討は,転移のメカニズム,再発の予測の上で注目される.
索引用語
gastric carcinomas, DNA index, flow cytometry, heterogeneity of DNA ploidy pattern
日消外会誌 23: 2227-2231, 1990
別刷請求先
松本 尚 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科
受理年月日
1990年5月9日
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