症例報告
大量消化管出血で発症した空腸アニサキス症の1例
小寺 泰弘, 末永 裕之, 鈴木 祐一, 禰宜田 政隆, 谷口 健次, 稲垣 均, 竹下 洋基, 余語 弘
小牧市民病院外科
症例は37歳,男性.下血を主訴として来院し,上部消化管内視鏡検査,直腸診などにて診断がつかぬまま出血性ショックにおちいった.腹部血管造影にて,空腸起始部に病変が疑われ,緊急手術を施行,視診にて空腸の腫瘤に由来する出血と診断し,同部を切除した.術後経過は良好である.病理学的には虫体の一部と思われる角皮の周囲に好酸球が浸潤した膿瘍で,肉芽組織に包囲されており,緩和型の空腸アニサキス症と診断した.このような病変から大量出血をきたした例は文献上類を見ないので報告した.なお,症例の抗アニサキス抗体価は高値を示した.
索引用語
intestinal anisakiasis, gastrointestinal hemorrhage
日消外会誌 23: 2304-2307, 1990
別刷請求先
小寺 泰弘 〒485 小牧市常普請1-20 小牧市民病院外科
受理年月日
1990年5月9日
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