症例報告
術前超音波検査で発見された胃重複症の1例
藤富 豊*, 穴井 博文, 久保 宣博, 松本 興三, 古沢 毅
古沢胃腸病院(*現 大分県厚生連鶴見病院外科)
42歳女性で超音波検査により発見された胃重複症の1例を経験したので報告する.超音波検査,computed tomography(以下CT)検査で肝左葉下方,胃小弯側に接して境界明瞭な球状の嚢胞を認めた.上部消化管造影,胃内視鏡検査では噴門部小弯に3×3 cmの表面平滑でなだらかな隆起があり,胃壁外性腫瘤で胃内腔との交通はなかった.手術所見では腫瘤は胃壁小弯と連続しており,胃壁を一部含めて摘出した.摘出標本では径4 cmの嚢胞で膿汁様液が充満していた.病理組織学的には粘膜,筋層,漿膜の層構造を呈していた.粘膜上皮は多列円柱上皮で杯細胞もみられた.筋層の一部は胃壁の筋層と連続していた.胃内腔との交通はなかった.今後超音波検査,CT検査で発見される腹腔内嚢胞では本疾患も念頭におくべきである.
索引用語
gastric duplication, ultrasonography
日消外会誌 23: 2380-2384, 1990
別刷請求先
藤富 豊 〒874 別府市大字鶴見4333 大分県厚生連鶴見病院外科
受理年月日
1990年6月13日
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