症例報告
塞栓摘除術を施行した急性上腸間膜動脈閉塞症の1例
北村 宏, 山田 武男, 大場 伸一郎, 楊 孝康
諏訪中央病院外科
患者は51歳の男性で以前より糖尿病,高血圧を指摘されていたが放置,5年前に心筋梗塞の既往があるが経過観察されていなかった.朝食後,突発性の臍周囲の激痛で発症.食物残渣を嘔吐,下血が認められた.胃,大腸内視鏡検査で異常を認めず,computed tomographyでも特異な所見は認められなかったが,自覚症状,腹部所見,および心臓超音波検査で心室瘤を認めたため,腸間膜動脈閉塞症を疑い,血管造影を行った.上腸間膜動脈に陰影欠損を認めたため,上腸間膜動脈にカテーテルを留置し,ウロキナーゼ24万単位持続動注したが効果なく,発症後72時間で手術を施行した.腸管は蒼白で辺縁動脈の拍動を欠いていたが,チアノーゼには陥っていなかった.上腸間膜動脈に切開を加え,バルーンカテーテルにより血栓摘除を行ったところ,腸管の色調が回復したため,腸切除は行わず,閉腹した.術後の血管造影で血栓摘除部の通過性は良好であった.
索引用語
occlusion of superior mesenteric artery, embolectomy
日消外会誌 23: 2425-2428, 1990
別刷請求先
北村 宏 〒391 茅野市玉川4300 組合立諏訪中央病院外科
受理年月日
1990年6月13日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|