症例報告
大量出血をきたした空腸Dieulafoy型潰瘍の1例
仁科 雅良, 藤井 千穂, 植田 昭徳, 梶原 康正1), 広川 満良2)
川崎医科大学救急医学, 同 放射線科1), 同 病院病理2)
今回われわれは,大量出血をきたした小腸のDieulafoy型潰瘍の1例を経験し,術前に出血部位を診断し,観血的に治療しえた.症例は68歳,男性.下血と出血性ショックのため受診した.出血シンチグラフィ(99mTc-RBC)で左上腹部に集積がみられ,上腸間膜動脈造影では空腸動脈からextravasationを認めた.
小腸切除術を施行し,粘膜面に小さな露出血管を認めたが潰瘍などはなかった.病理組織学的にはpersistant calibar arteryの所見であった.本邦ではいまだこのような症例の報告はなく,きわめてまれと思われる.
出血源の不明な消化管出血においては,シンチグラフィおよび血管造影が,診断・治療上有用である.
索引用語
Dieulafoy type ulcer, jejunal bleeding, gastrointestinal hemorrhage
日消外会誌 23: 2433-2437, 1990
別刷請求先
仁科 雅良 〒701-01 倉敷市松島577 川崎医科大学救急医学
受理年月日
1990年5月9日
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