原著
胃全摘術後の再建腸管運動について―strain gage force transducerを用いて―
林 秀彦
順天堂大学医学部外科学教室(外科学第1)(指導:榊原 宣教授)
胃全摘術後の再建腸管運動の病態生理学的解明をするために,胃全摘犬を作成し,strain gage force transducerで再建腸管運動を経時的に測定した.再建術式は空腸間置術とRoux-en Y吻合術の2法を行った.空腸間置術において手術2週間後では間置空腸に発生した空腹期収縮波群の肛門側腸管ヘの伝播は認められなかった.しかし5週間後頃より,伝播する収縮波群が出現するようになり9週間以降ではほとんどが伝播するようになった.Roux-en Y吻合術では5週間後頃より十二指腸と挙上空腸から同時に空腹期収縮波群が出現した.これらの結果から胃全摘空腸間置術後の再建腸管運動は9週間以降に生理的状態となることがわかった.それまでの食事に十分な注意が必要である.また,これらの変化には壁内自律神経叢の再構築が関与しているものと思われた.
索引用語
total gastrectomy, jejunal interposition, Roux-en Y anastomosis, strain gage force transducer
日消外会誌 23: 2523-2531, 1990
別刷請求先
林 秀彦 〒113 文京区本郷2-1-1 順天堂大学医学部第1外科
受理年月日
1990年6月13日
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