原著
肝癌切除後再発形式の検討
中本 実, 成瀬 勝, 柳沢 暁, 秋田 治之, 遠山 洋一, 稲垣 芳則, 高橋 恒史, 水崎 馨, 長 剛正, 青木 照明
東京慈恵会医科大学第2外科学教室
過去12年間に経験した108例の肝細胞性肝癌に対して53例の肝切除を行い,肝切除後の再発形式がどのような因子によるものかを検討した.再発症例は23例,60.5%と再発率は高率で,再発形式には断端,孤立性および多発性再発の3つに分類された.再発までの期間は孤立性および多発性再発はそれぞれ1,000±667, 566±511日で差はなかったが,再発確認後の生存期間はそれぞれ472±237,238±130日となり,多発性再発群が短かった.再発危険因子としての被膜形成とその浸潤の有無,脈管浸潤の有無,Stage分類,腫瘍径,肝硬変の程度,Edmondson分類,および術前集学的治療の有無により再発形式を予測できなかった.
多発性再発を予測できると考えられた因子としてはHBs抗原の存在(38.5%),AFP値の肝切除後の減少率の低値(52.5%)および術前原発巣が複数の場合が考えられた.
索引用語
hepatocellular carcinoma, hepatic resection, liver cirrhosis, alpha-fetoprotein
日消外会誌 23: 2557-2563, 1990
別刷請求先
中本 実 〒105 港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学第2外科
受理年月日
1990年7月10日
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