特異な経過を示した胃悪性リンパ腫の2例

山本　剛史, 中川　正久, 山本　剛史, 田村　勝洋, 中瀬　明, 藤井　一洋^1）, 花宮　秀明^1）, 丸橋　和弘^1）, 都志見　久令男^1）

島根医科大学第1外科, 都志見病院外科^1）

　今回われわれは臨床的に特異な経過を示した2例の多発性胃悪性リンパ腫を経験したので報告した．症例1は多発性の胃潰瘍，Reactive lymphoreticular hyperplasia（RLH）の診断で2年9か月にわたって追跡し切除した多発性表層拡大型悪性リンパ腫で，生検においても胃RLHとの鑑別が困難であったことより，臨床的に悪性リンパ腫が疑われる場合は積極的に切除すべきものと思われた．症例2は胃前庭部悪性リンパ腫で胃亜全摘後，4年を経過して残胃に再発した腫瘤形成型悪性リンパ腫で，胃悪性リンパ腫術後の残胃再発例としては本邦5例めの報告例である．再発形式に関して本例のごとく異時性多発性に発生する場合もあり，長期の経過観察が必要であると思われた．

索引用語
malignant lymphoma of the stomach, reactive lymphoreticular hyperplasia, malignant lymphoma of the remnant stomach

別刷請求先
山本　剛史　〒693　島根県出雲市塩治町89-1　島根医科大学第1外科

受理年月日
1990年7月10日

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