症例報告
肝細胞癌の副腎転移の1手術例
天野 穂高, 横山 健郎, 柏原 英彦, 峰巣 忠, 大森 耕一郎, 一瀬 雅典
国立佐倉病院外科
Transcatheter arterial embolization(TAE)にて経過観察中,副腎転移をきたし,転移巣を含む左副腎摘出術を施行したhepatocellular carcinoma(HCC)の1例を経験したので報告する.症例は65歳男性,肝内転移を伴ったHCCの診断でTAE施行.経過観察中computed tomography(CT)により左副腎腫瘍を認めた.肝原発巣は,3回のTAEにより著明な縮小を示したが,孤立性の副腎腫瘍は次第に増大したため手術を施行した.副腎腫瘍は肝原発巣に類似した組織像でありHCCの副腎転移と診断した.初回治療より4年3か月経過した現在生存中であり,TAEと外科的治療による集学的治療が長期生存を可能にしたと考えられた.
索引用語
metastatic adrenal tumor, hepatocellular carcinoma, transcatheter arterial embolization
日消外会誌 23: 2639-2643, 1990
別刷請求先
天野 穂高 〒285 佐倉市江原台2-36-2 国立佐倉病院
受理年月日
1990年7月10日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|